【出生率の低下と貧困率の関係】

はじめに

前回の記事では「こども家庭庁の予算」と「子どもの貧困率11.5%」のギャップに注目しました。
今回はさらに視点を広げ、「出生率の低下」と「貧困率」のつながりを見ていきます。


出生率の現状

この30年間、日本の合計特殊出生率は右肩下がりで推移しています。
1990年代前半には1.5前後を維持していましたが、2023年には1.20まで低下しました。
これは統計開始以来、過去最低水準です。


📌 出典:厚生労働省「人口動態統計(速報)」(2023年)


貧困率との関係

一方で、子どもの相対的貧困率は11.5%(2022年)。
つまり約 7人に1人 の子どもが、国民の所得中央値の半分未満で暮らしていることになります。

出生率が下がっているにもかかわらず、生まれてきた子どもたちが豊かに育てるとは限らないという現実。
これこそが「少子化」と「貧困」の二重苦です。

📌 出典:厚生労働省「国民生活基礎調査」(2022年)


背景にある構造

なぜ、このような状況が続くのでしょうか?

  1. 経済的負担の重さ
     教育費・住宅費・医療費が家計を圧迫。とくに教育費は年々増加しています。
     📌 文部科学省「子供の学習費調査」(2022年)

  2. 支援の届きにくさ
     こども家庭庁の予算は7.3兆円(2025年度概算要求)。
     しかし「申請のハードルが高い」「制度を知らない」という声が現場で多く聞かれます。
     📌 出典:こども家庭庁「令和7年度 概算要求概要」(2024年8月)

  3. 未来への安心感の欠如
     「子どもを育てても将来に希望が持てるのか?」という不安が、出生率低下の背景にあります。
     📌 内閣府「少子化社会対策白書」(2024年版)


希望の芽

それでも、希望の芽は確実に存在します。

  • 一部自治体による子ども医療費の完全無償化
  • 地域ぐるみで子どもを支える子ども食堂や学習支援
  • 「教育は未来への投資」という政策思想の広がり

これらを「点」から「面」へ広げられるかが、日本の未来を左右します。


まとめ

出生率の低下と子どもの貧困。
この2つは別々の課題ではなく、同じ根っこから生まれる問題です。

数字の裏にある子どもたちの姿を見つめ、次回は「具体的な予算の内訳」に迫ります。

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